医療費の負担割合とは？高齢社会対策大綱での重要な変更も解説

医療費の負担割合について、多くの人が不安や疑問を抱えています。とくに、高齢者や家族の医療費負担が気になる方も多いでしょう。

この記事では、年齢や所得に応じた医療費の負担割合を分かりやすく解説します。さらに、2024年9月に閣議決定された高齢社会対策大綱による重要な変更点も紹介します。

読めば、自分や家族の医療費負担がどうなるのか理解できます。また、負担を軽減するための方法も学べるので、医療費に関する不安を解消し、適切な対策を立てられるようになるでしょう。

医療費の負担割合とは

医療費の負担割合とは、公的医療保険制度における重要な仕組みです。この制度は、年齢と所得に応じて負担を調整し、医療サービスを受けやすくすることが目的です。

負担割合は年齢によって異なります。69歳以下の勤労世代は3割、未就学児（6歳以下）は2割を負担します。70歳から74歳の高齢者は原則2割ですが、75歳以上は所得に応じて1割から3割の負担となります。

この仕組みにより、世代間の公平性を保ちつつ、高齢者や子育て世帯への配慮を行っているのです。所得による調整も加え、制度の持続可能性を確保しています。

医療費の負担割合の仕組み

医療費の負担割合の仕組みは、年齢と所得に基づいて決まります。この制度は、国民全体で医療費を支え合う目的があるのです。

70歳未満は原則3割負担ですが、年齢が上がるにつれて変化します。70歳から74歳は基本2割、75歳以上は1割が基本です。ただし、所得が高い場合は負担が増えます。

この仕組みにより、高齢者の医療アクセスを確保しつつ、現役世代との公平性も保っています。後期高齢者医療制度では、現役世代も一部を支える形で、持続可能な医療制度を目指しているのです。

2024年9月閣議決定された高齢社会対策大綱の医療費負担割合の重要な変更

2024年9月の高齢社会対策大綱では、75歳以上の医療費負担割合に重要な変更がありました。この変更は、高齢化による医療費増加に対応するためです。

従来、75歳以上は原則1割負担でしたが、所得に応じて2割や3割負担の層もありました。新たな方針では、「現役並みの所得者」の範囲を広げ、3割負担の対象を増やす考えです。

この措置により、世代間の負担の公平性を高め、持続可能な医療制度の実現を目指しています。同時に、現役世代の負担軽減にもつながるのです。

医療費を節約するためのポイント

医療費の負担を軽減する方法はさまざまです。以下の5つのポイントを押さえておきましょう。

高額療養費制度を活用する

高額療養費制度は、医療費の負担を軽減する重要な仕組みです。利用すると、1か月の医療費が一定額を超えると、超過分が払い戻されます。

この制度は所得に応じて自己負担限度額が設定されています。高額な治療を受ける際には、事前に「限度額適用認定証」を取得すると、窓口での支払いが軽減されます。

申請は加入している健康保険の窓口で行えます。医療費が高額になりそうな場合は、ぜひこの制度を活用しましょう。負担を抑えつつ、必要な医療を受けられるのです。

医療費控除を申請する

医療費控除は、年間の医療費負担を軽減する有効な方法です。確定申告時に申請することで、所得税の還付を受けられます。

対象となるのは、年間の医療費が10万円（所得が200万円未満の場合は所得の5%）を超えた場合です。家族全員の医療費を合算できるので、世帯全体で考えると該当するかもしれません。

申請には医療費の領収書が必要です。日頃から領収書を整理しておくと、申請がスムーズになります。税金の還付を受けられるチャンスなので、ぜひ活用しましょう。

ジェネリック医薬品を選択する

ジェネリック医薬品は、医療費を節約する上で大きな味方となります。先発医薬品と同等の効果がありながら、価格が大幅に抑えられているのです。

処方される際に、医師や薬剤師に「ジェネリック医薬品を希望します」と伝えるだけで、切り替えられます。多くの場合、3割から5割ほど安くなるため、長期的に見ると大きな節約になります。

安全性も国が厳しくチェックしているので安心です。ただし、全ての薬にジェネリックがあるわけではないので、医療従事者に相談しながら選択しましょう。

かかりつけ医を決める

かかりつけ医を持つことは、医療費の節約につながる賢い選択です。同じ症状で複数の病院を受診する「はしご受診」を避けられるのです。

かかりつけ医は患者の健康状態を把握しているため、適切な診断や治療を効率的に行えます。必要に応じて専門医を紹介してもらえるので、無駄な受診や検査を減らせます。

また、初診料や診療情報提供料などの重複を避けられるため、長期的に見ると医療費の削減につながります。信頼できる医師を見つけ、継続的に関係を築いていくことが大切です。

予防医療を活用する

予防医療は、将来の医療費を大きく節約する鍵となります。定期健診や予防接種を積極的に受けることで、病気の早期発見・予防が可能になるのです。

とくに生活習慣病は、早期発見と適切な対応で進行を遅らせたり、予防したりできます。これにより、将来的に高額な治療費がかかるリスクを減らせます。

また、日々の健康管理も重要です。適度な運動や、バランスの取れた食事を心がけましょう。健康的な生活習慣を築くことで、医療費の節約だけでなく、QOL（生活の質）の向上にもつながるのです。

医療費の負担割合に関するよくある質問

医療費の負担割合は年齢や所得によって異なります。よくある疑問について、詳しく解説します。

医療費1割負担の条件は？

医療費1割負担は、主に75歳以上の後期高齢者が対象となります。この制度は、高齢者の医療へのアクセスを確保するためのものです。

具体的には、住民税非課税世帯や一般所得者が該当します。年金収入が単身で年間200万円未満、複数人世帯で年間320万円未満の場合が目安です。

ただし、医療費の急増に対応するため、2022年10月から所得に応じて2割負担が導入されました。1割負担は、比較的所得が低い高齢者を支援する仕組みなのです。

参考：一定以上の所得のある方の 医療費の窓口負担割合が変わります

医療費2割負担の条件は？

医療費2割負担は、主に70歳以上74歳以下の方と、一定以上の所得がある75歳以上の方が対象です。この制度は、世代間の公平性を保つために設けられました。

70歳以上74歳以下の方は原則2割負担です。75歳以上の方では、単身世帯で年間収入が200万円以上、複数人世帯で320万円以上の場合が該当します。

ただし、現役並みの所得（年間収入383万円以上）がある方は3割負担となります。2割負担は、高齢者の負担を軽減しつつ、制度の持続可能性を確保するための中間的な設定なのです。

年齢別の医療費自己負担額はどのくらい？

年齢によって医療費の自己負担額は大きく異なります。これは、各世代の負担能力や医療ニーズを考慮して設定されているのです。

6歳未満は2割負担で、子育て支援の一環となっています。6歳から69歳までは3割負担が基本で、現役世代の負担となります。

70歳から74歳は原則2割負担ですが、現役並み所得者は3割です。75歳以上は所得に応じて1割から3割まで分かれます。

このように、年齢や所得に応じて細かく設定されているのは、公平性を保ちつつ、必要な医療を受けられるようにするためなのです。

医療費の負担割合について理解しておこう

医療費の負担割合は、年齢と所得によって決まります。70歳未満は3割負担が基本ですが、70歳以上は段階的に軽減されます。

高齢社会対策大綱では、75歳以上の一部の方に対する負担割合を見直す方針が示されました。これは、世代間の公平性を保ち、持続可能な医療制度を目指すためです。

医療費の節約には、高額療養費制度の活用やジェネリック医薬品の選択などが効果的です。自身の状況に合わせて、適切な対策を取ることが大切です。医療費の仕組みを理解し、賢く活用しましょう。