CPI(消費者物価指数)とは?詳細や影響をわかりやすく解説
目次
「CPI」という用語をよく耳にするものの、何を意味していて、どのような影響があるのかいまいちわからない人も多いのではないでしょうか。
CPIとは消費者物価指数のことで、世の中のさまざまな物価の変動を表す指数です。
市場や金融政策など、主に経済に与える影響が大きいことで知られています。
この記事では、CPI(消費者物価指数)の概要や影響、指標の見方や指数の推移などについて詳しく解説します。特に、投資をおこなう人はCPIについて正しく理解して、取引の際の参考にしましょう。
- CPIの基礎知識
- 類似する指数との違い
- CPIの計算方法
- CPIの見方
- CPIの推移
- CPIが与える影響 など
- CPIが何のことかいまいち分からない人
- CPIについての理解を深めたい人
- CPIがどのように計算、算出されているか詳しく知りたい人
- CPIが世間にどのような影響を与えるのか知りたい人 など
CPI(消費者物価指数)とは?
CPIとは消費者物価指数のことで、全世帯が購入する製品やサービスの価格変動を表す指数です。
商品だけでなく、各種サービスやインフラなどの公共料金も品目に含まれているのがCPIの特徴です。
CPIは総務省が毎月発表しており、国によって算出方法や対象となる品目などが異なります。
CPIから何がわかる?
CPIからは、主に物価の変動が読み取れます。簡単に言えば、「CPIの上昇=物価が上がっている」「CPIの下落=物価が下がっている」ということです。
つまり、CPIを見れば、消費者が購入する商品・サービス価格の推移や、それに伴う消費の増減などがわかります。
(例)
- CPI上昇=物価が上がる、消費が落ち込む可能性
- CPIが下落=物価が下がる、消費が上向く可能性
など
CPIが注目・重要視される理由
物価や消費の変動を表すCPIが重要視される理由は、企業や金融(投資)への影響が大きいためです。
CPIは、物価や消費の変動が読み取れることから、国の景気を判断する重要な指標になります。
好景気のときは物価が上がってインフレになり、不景気のときは物価が下がってデフレになる場合が多いです。このような景気変動の際に政府(中央銀行)は、金融政策を講じて景気の解消に努めます。
金利の引き上げ、引き下げによって国の経済に大きな影響を与えることから、特に投資家から注目されています。
CPI(消費者物価指数)と類似する指数との違い
CPI(消費者物価指数)には、次のような関連のある指数があります。
- PPI(生産者物価指数)とは
- PCEデフレーターとは
- コアCPIとは
- コアコアCPIとは
CPIとの違いや、影響などについてそれぞれ解説していきます。
PPI(生産者物価指数)とは
PPI(生産者物価指数)とは、生産した製品や仕入れた原材料の価格変動を表す指数のことです。卸売物価指数と呼ばれる場合もあります。
CPI(消費者物価指数)は商品を購入する消費者の指数ですが、PPIは商品を提供する側に関わる生産者の指数です。基本的には、CPIと同様に物価の変動を把握するために活用されます。
PCEデフレーターとは
PCEデフレータとは個人の消費・支出を基準にして、物価の変動を算出する指標のことです。
CPI(消費者物価指数)も同じ消費から物価を算出する指数ですが、PCEデフレータの方がより幅広い消費を測定できます。
金融政策を検討する際の指標にもなっているのが、PCEデフレーターの大きな特徴です。
コアCPIとは
コアCPIとは、CPIの中から生鮮食品を除いて算出された指数のことです。CPIは対象品目全体を測定しますが、コアCPIでは生鮮食品以外の品目で計算します。
生鮮食品は天候や市場の影響によって価格の振れ幅が大きい特徴があるため、除外して計算することでより確かな変動が分かるようになります。
コアコアCPIとは
コアコアCPIとは、CPI(消費者物価指数)から食料(酒類以外)とエネルギーを除外して計算された指数のことです。
食料とエネルギーも生鮮食品と同様に、天候や市場の影響によって価格が変動しやすいため、コアコアCPIでは除いて算出されています。変動しやすい項目を除外することで、物価変動の基調が確認できます。
CPI(消費者物価指数)の計算方法
CPIは、ラスパイレス式を用いて計算します。難しい公式がありますが、要約した次の式に当てはめると簡単に計算できます。
- 「比較時の価格÷基準時の価格×100」
品目ごとに指数とウェイトが設定されており、それらを加重平均すると総合指数を求められます。
指数とウェイトの詳細は、総務省の「家計調査」で確認可能です。
CPI(消費者物価指数)の見方
前提として、CPI(消費者物価指数)は基準年の数値を100として増減を判断することを理解しておきましょう。
基準値100よりも指数が上昇した場合は物価が高騰している、100よりも下がった場合は物価が下落していると判断できます。
例えば、CPIが103の場合は基準年の100よりも数値が3上がっているため、3%物価が上昇したことになります。
一般的に物価高は好景気、物価安は不景気な場合が多いです。CPIから物価や消費の状態を正確に読み取りましょう。
CPI(消費者物価指数)の推移
現在のCPI(消費者物価指数)は、2020年を基準にして変動の比率が算出されています。CPIの推移は、次の表の通りです。
年 | 年 |
---|---|
2000 | 97.3 |
2001 | 96.6 |
2002 | 95.8 |
2003 | 95.5 |
2004 | 95.5 |
2005 | 95.2 |
2006 | 95.5 |
2007 | 95.5 |
2008 | 96.8 |
2009 | 95.5 |
2010 | 94.8 |
2011 | 94.6 |
2012 | 94.5 |
2013 | 94.8 |
2014 | 97.4 |
2015 | 98.2 |
2016 | 98.1 |
2017 | 98.6 |
2018 | 99.6 |
2019 | 100 |
2020 | 100 |
2021 | 99.8 |
2022 | 102.3 |
2023 | 105.6 |
2024 | 108.0 |
2025 | 110.2 |
2026 | 112.4 |
2027 | 114.7 |
2028 | 117 |
2029 | 119.3 |
出典:https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2024/April
CPI(消費者物価指数)が上がる・下がると株価はどうなる?
一般的にCPI(消費者物価指数)が上がるとインフレになり、企業の利益や株価も上がる傾向があります。
ですが、2%以上高くなってしまうと、次のような展開で株価(株式)の下落につながる可能性があるため注意が必要です。
- CPIが上がると物価が上がる
- インフレが続くと政府(中央銀行)は抑制するために金利を上げる
- 消費者の購買意欲が下がり、貯蓄に回るお金が増える
- 消費が低下し、企業は売り上げが落ちる
上記のような流れで市場に影響を与え、株価が下落していきます。中央銀行による金利の介入があった場合は、市場の変動に十分注意するようにしましょう。
一方、CPIが下がるとデフレになり、物価や消費が落ち込み、企業の利益や株価は下がる場合が多いです。ただし、例外もあるため、CPI以外の部分にも注目することが重要です。
CPI(消費者物価指数)とインフレの関係性とは?
CPI(消費者物価指数)とインフレ・デフレの関係性は、次の通りです。
- CPIは上がると物価が上がる、企業の利益が増加する=インフレになる
- CPIが下がると物価が下がる、企業の利益が減少する=デフレになる
CPIが上がれば物価も上がる、CPIが下がれば物価も下がると覚えておくとわかりやすいです。
物価や景気とは深い関係があるため、どのような関わりがあるのか正しく押さえておきましょう。
CPI(消費者物価指数)が与える投資への影響とは?
CPI(消費者物価指数)は経済との結びつきが強いため、投資へ次のような影響があります。
- 指数が上がると買い注文・下がると売り注文が増える
- CPI(消費者物価指数)の発表前後は相場が急変動しやすい
投資をする際は、CPIの変動に注意しながら取引をおこなうと良いでしょう。
CPIが上がると買い注文・下がると売り注文が増える
CPI(消費者物価指数)が上がると買い注文が増加し、下がると売り注文が増加する傾向があります。CPIの上昇は好景気、下降は不景気を表すためです。
あくまで傾向なため、絶対当てはまるわけではありませんが、銘柄の売り買いをする際はCPIの動きを参考にしてみると良いでしょう。
CPI(消費者物価指数)の発表前後は相場が急変動しやすい
CPI(消費者物価指数)の発表直前は、直後に株式相場が急変動する場合があります。消費者物価指数の発表を受けて、買い注文・売り注文が続出する可能性があるためです。
CPIは株式市場にも大きな影響を与え、株価が乱高下するリスクがあるため、発表日前後に取引をおこなう場合は、十分注意しましょう。
CPI(消費者物価指数)に関するQ&A
CPI(消費者物価指数)に関する基本的な疑問点を次のようにまとめました。
- CPI(消費者物価指数)はいつ発表される?
- CPI(消費者物価指数)の基準年はいつ?
- CPI(消費者物価指数)の対象品目は?
CPIの仕組みについてよく理解した上で、指数の変動を確認するようにしましょう。
CPI(消費者物価指数)はいつ発表される?
日本のCPI(消費者物価指数)は、毎月19日を含む週の金曜午前8時30分に発表されます。アメリカのCPIは、15日前後に発表されます。
政治や経済面で動きがあった場合は、大きく変動する可能性もあるため、定期的にチェックしておくのがおすすめです。
CPI(消費者物価指数)の基準年はいつ?
CPI(消費者物価指数)は、西暦の末尾が0と5の年を基準としていて、5年ごとに改定されています。
例えば、現在のCPIは、2020年を基準年として算出されており、次の改定は2025年です。5年毎の改定で、対象となる品目も時代に合わせて見直されています。
CPI(消費者物価指数)の対象品目は?
CPI(消費者物価指数)の対象となる品目は、次のようなジャンルの商品・サービスがラインナップされています。
- 生鮮食品
- 他の農水畜産物
- 食料工業製品
- 繊維製品
- 石油製品
- 他の工業製品
- 電気・都市ガス・水道
- 出版物
- 外食(学校給食)
- 公営・都市再生機構・公社家賃
- 家事関連サービス
- 医療・福祉関連サービス
- 運輸・通信関連サービス
- 教育関連サービス
- 教養娯楽関連サービス
- 外食(一般外食)
- 民営家賃
- 持家の帰属家賃
- 他のサービスの家事関連サービス
- 他のサービスの医療・福祉関連サービス
- 他のサービスの教育関連サービス
- 他のサービスの通信・教養娯楽関連サービス
詳しい品目を把握したい場合は、以下の資料を確認するのがおすすめです。
出典:総務省統計局ホームページ|2020年基準消費者物価指数作成関係資料
まとめ:CPI(消費者物価指数)は消費の動向を表す重要な指数
CPI(消費者物価指数)は物価の値動きを表し、経済に大きな影響を与えます。
市場の把握や投資の判断において重要な指標となるため、定期的に注視するのがおすすめです。
最後に、CPIの要点をあらためておさらいしていきます。
- CPIが上がる=物価が高騰している(インフレ)
- CPIが下がる=物価が下落している(デフレ)
- CPIは毎月19日を含む週の金曜午前8時30分に発表される
- CPIは5年ごとに基準や品目が改定される(次回は2025年)
ぜひ、CPIを活用して、市場や物価の動向を確認した上で、最善の選択をしましょう。