子ども貯金はいくら必要?教育費シミュレーションをもとに解説!
目次
「子どもの教育費、うちの貯金で足りるのだろうか…..」
「将来に備えていくら貯めればいいの?」
こんな不安を抱える子育て世代の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、教育費の目安と実際のシミュレーション結果をもとに、子どもの貯金に必要な金額を解説。さらに、効果的な貯金方法や知っておくべき最新の制度まで幅広くお伝えします。
この記事を読めば、お子様の将来に向けた具体的な資金計画が見えてくるはずです。教育費の実態を知り、家庭に合ったマネープランを立てることで、将来への不安を解消しましょう。
- 子どもの教育費の目安
- 子どもの教育費準備に必要な貯蓄額
- 子ども貯金の方法や役に立つ制度
- 教育費がどれくらいかかるのか目安を知りたい人
- 子育て世帯の平均貯蓄額と自身の家庭に必要な額を知りたい人
- 子ども貯金をするのに役立つ制度について知りたい人
教育費の目安は?
教育費の目安は「子ども1人につき1,000万円」と言われることが多いですが、実際はもっと複雑です。公立か私立か、下宿が必要かなどの条件により大きく変わってきます。
まずは、いつどのくらいかかるかを知ることが大切です。次から一般的な教育費の目安を解説していきます。
幼稚園~高校までの教育費の目安
次の表は、学習費の総額を公立・私ごとに表にしたものです。
公立 | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園 | 165,126円 | 308,909円 |
小学校 | 352,566円 | 1,666,949円 |
中学校 | 538,799円 | 1,436,353円 |
高校 | 512,971円 | 1,054,444円 |
尚、この金額には学校外活動費も含みます。私立の幼稚園・小学校に通う子どもの学校外活動費は公立に比べ高い傾向にありますが、中学校に入ると大きな差はなくなります。私立中学の多くがエスカレーターで進学できるため、高校受験にかかる費用が少ないためです。
このように、進学先によりいつどの時期でお金が必要となるかも異なります。マネープランを立てる際は、さまざまなケースを想定する必要があるでしょう。
大学の教育費の目安
大学については国立と公立、私立ごとに、入学金と授業料の平均を以下の表にまとめています。
国立 | 公立 | 私立 | |
---|---|---|---|
入学料 | 282,000円 | 391,305円 | 245,951円 |
授業料(1年分) | 535,800円 | 536,363円 | 930,943円 |
大学については理系・文系の別によっても学費は大きく異なります。また、このほか予備校代や模試費用など、大学受験にかかる費用も相当額必要となるため、受験の形態によって増減があることも踏まえておきましょう。
子どもがどのような進路を選んでも充分な費用を捻出できるよう、余裕をもった資金計画が必要です。
子どもの人数ごとにシミュレーション
ここでは、子どもの人数や進学先など様々なケースを想定してシミュレーションを行いました。具体的な数字を確認することで、ご自身の家庭にどれくらいの教育費が必要か考えてみましょう。
※日本政策金融公庫のシミュレーターを使用
※子どもの年齢は末子が3歳として試算
子ども1人の教育費シミュレーション
まずは、次のケースでシミュレーションを行いました。
- 子どもの人数:1人
- 幼稚園~小学校まで公立、中学校~大学は私立
- 大学は四年制の文系学部
こちらでシミュレーションを行った結果、教育費の総額は約1399.1万円となりました。
注目すべきは、中学校の選択による差です。私立中学と公立中学では約90万円もの差が生じます。この差は6年間で540万円にもなり、教育費全体に大きな影響を与えます。
子ども2人の教育費シミュレーション
次に、子どもが2人のケースを見てみましょう。
- 子どもの人数:2人
- 幼稚園~中学校まで公立、高校~大学は私立
- 大学は四年制の文系学部
- 2人とも同じ進学先として試算
こちらのシミュレーションでは、1人あたり約1,130万円、2人合わせて2,260万円という結果になりました。
ただし、高校については所得により就学支援を受けられる可能性があり、この試算よりも学費を抑えられるかもしれません。詳しくは後ほど解説します。
子ども3人の教育費シミュレーション
多子世帯と呼ばれる子ども3人の家庭ではどうなるでしょうか。次の条件で見てみましょう。
- 子どもの人数:3人
- 幼稚園~高校までは公立、大学のみ私立
- 大学は四年制の文系学部
- 3人とも同じ進学先として試算
3人の子どもが高校まで公立に通い、大学のみ私立4年制大学文系学部へ進学した場合、1人あたりの学費は約970万円、3人合わせて2,910万円という結果になりました。
しかし、子どもが3人以上であれば「高等教育無償化制度」いわゆる大学無償化の対象となるため、この試算よりも大幅に少なくなる可能性があります。
ただし適用には諸条件あり、兄弟の年齢差などによっては子ども全員が活用できない可能性もあります。詳しくは、後述の「多子世帯の大学授業料が無償化」をお読みください。
シミュレーターや学費計算アプリを活用しよう
教育費の試算には、各種シミュレーターや学費計算アプリが便利です。中には毎月の必要貯蓄額まで算出してもらえるので、より具体的な資金計画が立てられます。
例えば、子ども2人が私立大学に進学する場合、毎月の貯蓄目標額は約5万円という結果が出ることもあります。このような具体的な数字があれば、より現実的な貯蓄計画が立てられるでしょう。
みんないくら貯めてる?子ども貯金の平均額
自分の家庭の貯蓄状況が十分かどうか気になる方も多いでしょう。ここでは、平均的な貯蓄額と、教育費の準備に向けた目標額について解説します。
子育て世代の貯蓄額は平均601万円
金融広報中央委員会の調査(令和5年度)によれば、30代の貯蓄額平均は601万円、中央値は150万円となっています。平均と中央値に大きな開きがあることから、貯蓄額には個人差が大きいことがわかります。
実際の分布は以下の通りです。
単位:%
金融資産非保有 | 100万円未満 | 100万円~200万円未満 | 200万円~300万円未満 | 300万円~400万円未満 | 400万円~500万円未満 | 500万円~600万円未満 | 700万円~1,000万円未満 | 1,000万円~1,500万円未満 | 1,500万円~2,000万円未満 | 2,000万円~3,000万円未満 | 3,000万円以上 | 無回答 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20歳代 | 37 | 21.6 | 9.9 | 8.2 | 4.7 | 4.7 | 4.1 | 2.3 | 1.2 | 0 | 2.3 | 0.6 | 3.5 |
30歳代 | 28.4 | 12.3 | 9.9 | 7.6 | 5.6 | 4.5 | 6.6 | 5.2 | 6.3 | 2.2 | 2.6 | 4 | 4.8 |
この表から、金融資産非保有と貯蓄額が100万円未満の世帯も多く、30代でも合わせて3割を超えていることがわかります。
しかし実際のところ、先ほどのシミュレーションを考えると、これでは子どもに満足な教育を施すには少し心もとない額と思われることでしょう。
それでは、いつ・どれくらいの貯蓄があれば安心できるのでしょうか。次から具体的に見ていきましょう。
教育費はいつまでにいくら貯めればいい?
教育費でまとまったお金が必要になるのは、主に大学入学前後です。そのため、子ども1人あたり400万円(私立大学文系で4年間に必要な平均的な額)は、大学入学までに準備しておくことが望ましいです。
ただし、公立か私立か、理系か文系かによっても必要額は変わってきます。子どもの選択肢を狭めないためにも、できるだけ余裕を持った資金計画を立てることをおすすめします。
毎月いくら貯めればいい?
目標額が決まったら、それを達成するために毎月いくら貯めればよいか考えましょう。
例えば、子どもが0歳の時点で、18年後に400万円必要だとします。この場合、毎月約1.85万円を貯金すれば目標達成できます。しかし、インフレや予期せぬ出費に備えて、月2~3万円程度の貯蓄を目指すのが良いでしょう。
ソニー生命の調査(2021年)によれば、子育て世帯の平均月間貯蓄額は14,189円です。しかし、0歳~5歳の乳幼児期は一番の貯め時。家庭の状況にもよりますが、可能であれば月3~5万円を目標にするとよいでしょう。
教育費はどうやって貯める?おすすめの貯め方3選
教育費の貯め方には様々な方法がありますが、ここでは次の3つをご紹介します。
それぞれメリット・デメリットがありますので、特徴を理解し、ご自身の家庭に合った貯め方を見つけましょう。
児童手当を貯金に回す
現行の児童手当では、以下の金額が支給されます。
子どもの年齢 | 子ども一人あたりの月額 |
---|---|
0~3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上~小学校修了前 | 10,000円(第三子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
これらのお金を全て貯蓄に回すだけでも、相当な額になります。例えば、一人分の児童手当を全額貯金に回すと、小学校卒業時には約130万円、中学校卒業時には約190万円となり、大学入学時の初期費用をカバーできる金額に届くのです。
ただし、児童手当は親名義の口座へ振り込まれるため、分別管理に工夫が必要です。また、預金のままでは利息がほとんどつかないというデメリットもあります。
尚、2024年10月以降は児童手当の拡充も決まっており、より手厚い支援を受けられるようになります。詳しくは「2024年最新|今知っておきたい教育費の制度3つ」で解説しますが、教育費の貯蓄にこの機会をぜひ活用しましょう。
学資保険に加入する
学資保険は、教育費の貯蓄をしくみ化したい人におすすめです。リスクが低く、学費が必要なタイミングで保険金が支払われるのが大きなメリットです。
ただし、現在は返戻率がそれほど高くないのがデメリットです。払込期間が長ければ長いほど、返戻率は低くなります。
長期でコツコツ積み立てたい人や、より高い利回りで長期運用の恩恵を受けたい人は、別の方法を検討してみましょう。
積立投資を活用する
積立投資を使えば、貯蓄をしくみ化できるうえ、より高いリターンも狙えます。
例えば、毎月1万円を18年間、年利3%で運用した場合の試算は約280万円になります。これは単純に貯金した場合の216万円と比べて、約64万円多い金額です。
ただし、投資には常に元本割れのリスクが伴います。使いたい時期に損失を抱えていたら現金化しづらいというデメリットにも気を付けましょう。
尚、運用する際にはNISAがおすすめですが、親名義の運用となるため贈与とみなされることもあり注意が必要です。詳しくは「子ども貯金で気を付けたい2つのこと」で解説します。
2024年最新|今知っておきたい教育費の制度3つ
教育費に関わる制度が整備されつつある昨今、マネープランに役立てられるよう、最新の制度をしっかり理解しておきましょう。
児童手当が拡充
2024年10月より児童手当が次の通り拡充されます。
- 第3子以降の支給額が30,000円に増額
- 所得制限の撤廃
- 高校卒業まで支給期間延長
この改正によって、より多くの家庭がより長い期間、児童手当を受け取れるようになります。高校3年間だけでも36万円の貯蓄ができますので、大学入学にかかる費用にも活用しやすいです。
第3子以降への支給額も2倍になりますので、教育費の捻出に悩む多子世帯にとっても朗報です。計画的に児童手当を貯蓄できるよう、今からしくみを作っておきましょう。
高校生への就学支援
所得がおよそ1,000万円までの世帯であれば、高校授業料の支援を受けられる可能性があります。
例えば、年収590万円未満の世帯では、公立高校の授業料が実質無償化されます。私立高校でも、年収590万円未満の世帯は最大39万6,000円の就学支援金が支給されます。
子どもの学習の機会を逃さないよう、就学支援制度はしっかり確認しておきましょう。
多子世帯の大学授業料が無償化
令和7年度以降、子ども3人以上の多子世帯は、大学等の高等教育にかかる費用が無料となる制度が始まります。具体的には次の通りです。
- 年間授業料70万円・入学金26万円が減額支援
- 所得制限はなし
- 学習意欲があれば採用
※翌年以降の継続要件として一定の出席率・取得単位を保持する必要あり。
この制度で気を付けたいのが、長子が扶養から外れると、第二子以降は無償化対象外となる点です。つまり兄弟の年齢差が大きいと、この恩恵をフルに受けられない可能性があります。
子どもが3人以上の世帯であれば、この制度によりマネープランは大きく変わることでしょう。無理のない資金計画を立てるためにも、この支援を踏まえ学費をシミュレーションしてみてください。
子ども貯金で気を付けたい2つのこと
子ども貯金で知っておかないと損することもあります。ここでは特に注意が必要な2点について解説します。
渡し方によっては贈与税がかかる
年間110万円までなら贈与税は非課税です。また、通常必要と認められる教育費は、発生の都度贈与すれば非課税となります。
しかし、親名義の預金で貯めていた教育費をまとめて渡すと、課税対象となる可能性があります。例えば、大学入学時に400万円をまとめて渡すと、110万円を超える290万円に対して贈与税がかかってしまいます。
1,500万円まで教育費の贈与が非課税になる「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」という制度もあります。一括贈与を検討している場合は、この制度の利用を検討してみるとよいでしょう。
奨学金やローンは金利が高い
学費が払えない場合、奨学金や教育ローンを利用すれば子どもを学校へ通わせることができます。しかし、これらは子どもに借金を負わせることになる点に注意が必要です。
例えば、日本学生支援機構の第二種奨学金の年利は1.21%です(令和6年8月の固定利率方式の金利)。国の教育ローンの年利は実に2.4%(令和6年5月)にものぼります。
教育費を借入に頼らなくて済むよう、計画的に貯蓄することが重要です。
まとめ|教育費のシミュレーションを活用し家庭に合った子ども貯金を
教育費のシミュレーションを行うことで、自身の家庭に合った貯蓄額や毎月の目標が見えてきます。児童手当の活用や学資保険、積立投資など、家庭に合った方法を選び、貯蓄を実践していきましょう。
教育費の準備は長期的な取り組みです。本記事を参考に、ご家庭の状況に合わせたマネープランを立ててみてください。早めの準備と定期的な見直しにより、将来の教育費の不安を解消し、子どもにより多くの選択肢を提供できるはずです。
子どもの進む道に合わせて柔軟に対応しながら、無理のない範囲で着実に貯蓄を続けていきましょう。