特定扶養控除とは?大学生が対象になるための条件を解説
目次
大学生の子を持つ親御さん、教育費の負担に悩んでいませんか。
実は、特定扶養控除を利用すれば、税負担を大幅に軽減できるのです。
この記事では、特定扶養控除の仕組みと、大学生が対象となるための条件を分かりやすく解説します。控除額や申請方法、注意点まで詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
- 特定扶養控除の仕組みと対象
- 大学生が特定扶養控除の対象になる条件
- 特定扶養控除のメリットと申請方法
- 大学生の子どもを持つ親
- 所得税・住民税の負担を軽減したい人
- 扶養控除の申請手続きを正確に行いたい人
特定扶養控除とは
特定扶養控除は、19歳以上23歳未満の扶養親族に対する税制優遇制度です。主に大学生を持つ家庭の経済的負担を軽減するために設けられました。
この控除を利用すると、所得税と住民税が大幅に減額されます。たとえば、年収500万円の世帯では、最大で年間約17万円の節税効果が期待できます。
特定扶養控除は、教育費がかさむ時期の家計を支える重要な制度です。申請は年末調整か確定申告で行えるので、条件に当てはまる場合は積極的に活用しましょう。
特定扶養親族とは
特定扶養親族は、控除対象扶養親族のうちでその年の12月31日現在に19歳以上23歳未満の扶養家族を指します。多くの場合、大学生や専門学校生が該当します。
対象となるには、年齢要件に加えて所得要件と生計要件も満たす必要があります。具体的には、年間の合計所得が48万円以下で、納税者と生計を一にしていることが条件です。
特定扶養親族に認定されると、所得税で63万円、住民税で45万円の控除を受けられます。この制度は、高等教育にかかる費用の負担を軽減し、若者の学びを支援する役割を果たしています。
特定扶養控除の控除額
カテゴリー | 対象年齢 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
---|---|---|---|
一般扶養親族 | 16~18歳、23~69歳 | 38万円 | 33万円 |
特定扶養親族 | 19~23歳 | 63万円 | 45万円 |
15歳以下 | 15歳以下 | なし | なし(人数に含む) |
75歳以上の親族 | 70歳以上 | 48万円(同居している場合:58万円) | 38万円(同居している場合:45万円) |
特定扶養控除の控除額は、所得税で63万円、住民税で45万円です。この金額が課税所得から差し引かれ、税負担が軽減されます。
たとえば、年収500万円の世帯が特定扶養控除を利用すると、以下のようになります。
※尚、所得税は国税庁「No.2260 所得税の税率」より、住民税は10%にて計算。
特定扶養控除がない場合:総税額 = 1,000,000 + 500,000 = 1,500,000円
※以下内訳
【所得税】
課税所得 | 5,000,000円 |
税率 | 20% |
所得税額 | 5,000,000 × 20% = 1,000,000円 |
【住民税】
課税所得 | 5,000,000円 |
税率 | 10% |
住民税額 | 5,000,000 × 10% = 500,000円 |
特定扶養控除がある場合:総税額 = 874,000 + 455,000 = 1,329,000円
※以下内訳
【所得税】
課税所得 | 5,000,000円 – 630,000円 = 4,370,000円 |
税率 | 20% |
所得税額 | 4,370,000 × 20% = 874,000円 |
【住民税】
課税所得 | 5,000,000円 – 450,000円 = 4,550,000円 |
税率 | 10% |
住民税額 | 4,550,000 × 10% = 455,000円 |
節税効果の計算:
節税額 = 扶養控除がない場合の総税額 – 扶養控除がある場合の総税額 | 1,500,000円 – 1,329,000円 = 171,000円 |
したがって、21歳の大学生を扶養親族としている場合の節税効果は171,000円となります。
この控除は、教育費の負担が重い時期の家計を助ける重要な制度です。年末調整や確定申告で申請できるので、条件を満たす場合は必ず利用しましょう。長期的な視点で見ると、大きな節税効果が期待できます。
大学生が特定扶養控除の対象になるための条件
大学生が特定扶養控除の対象となるには、3つの条件があります。
- 年齢要件
- 年間所得
- 親と生計を一つにしているか
まず、年齢要件です。その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満であることが必要です。次に、年間所得が48万円以下(給与収入なら103万円以下)という条件があります。
最後に、親と生計を一つにしていることが求められます。一人暮らしでも、仕送りなどで経済的につながっていれば認められます。
これらの条件を満たすと、親は所得税63万円、住民税45万円の控除を受けられ、大きな節税効果が期待できるのです。
給与収入103万円以下については以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
特定扶養控除を申請するメリット
特定扶養控除の申請には、税負担の軽減や長期的な節税効果など、以下のメリットがあります。
- 大幅な所得税・住民税の軽減につながる
- 大学生を扶養にいれることでさらなる節税効果が期待できる
- 長期的な節税効果が期待できる
大幅な所得税・住民税の軽減につながる
特定扶養控除を利用すると、所得税で63万円、住民税で45万円の控除が受けられます。これにより、税負担が大きく軽減されるのです。
たとえば、年収500万円の世帯では、約17万円の節税効果が期待できます。具体的には、所得税が約12.6万円、住民税が約4.5万円減額されるのです。
この控除額は決して小さくありません。家計にとって大きな助けとなり、ゆとりが生まれます。とくに、教育費がかさむ時期には、この控除による負担軽減が家計の強い味方となるでしょう。
大学生を扶養にいれることでさらなる節税効果が期待できる
大学生を扶養に入れると、特定扶養控除による節税効果がさらに高まります。大学生は学費や生活費などの支出が多いため、この控除は家計の強い味方となるのです。
たとえば、年間の学費が50万円、生活費が100万円かかる場合、特定扶養控除による約17万円の節税は、これらの費用の約11%に相当します。この節税分を学費や教材費に充てることで、教育投資の幅が広がります。
また、奨学金の返済や留学費用の積立など、将来の教育関連支出に備えられます。このように、大学生を扶養に入れることで、教育費の負担を軽減しつつ、子供の未来に投資する余裕が生まれるのです。
長期的な節税効果が期待できる
特定扶養控除の大きな魅力は、長期的な節税効果にあります。この控除は、子供が19歳から22歳までの4年間、継続して適用できるのです。
つまり、大学4年間を通じて毎年約17万円の節税が可能となります。4年間で計68万円もの節税効果が得られるわけです。この金額は、一般的な大学の年間授業料の半分以上に相当します。
長期的な視点で見ると、この節税効果は家計に大きな余裕をもたらします。たとえば、節税分を教育ローンの返済に充てたり、子供の将来のために貯蓄できます。特定扶養控除は、子供の教育を支える強力な味方なのです。
特定扶養控除を申請する際の注意点
特定扶養控除の申請には、いくつかの重要な条件があります。ここでは、主な注意点を詳しく解説します。
- 年齢に制限がある
- 年間合計所得金額に制限がある
- 生計同一でなければならない
- 控除が受けられるのは一人の納税者のみ
年齢に制限がある
特定扶養控除の対象となるのは、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の扶養親族です。この年齢制限は厳密に適用されます。
たとえば、その年の12月に19歳になる場合も対象となります。一方、23歳の誕生日を迎えると、その年の1月1日から控除対象外となるのです。
年齢によって控除額が変わるため、正確な確認が欠かせません。とくに、19歳や22歳の扶養親族がいる場合は、年齢条件を慎重に確認しましょう。申告前に必ず年齢をチェックし、控除対象かどうかを見極めることが大切です。
年間合計所得金額に制限がある
特定扶養控除を受けるには、扶養親族の年間合計所得が48万円以下な必要があります。この条件は、大学生のアルバイト収入にも適用されるのです。
給与所得の場合、年間収入が103万円以下なら控除対象となります。ただし、これを超えると扶養から外れてしまいます。たとえば、月8万円のアルバイト収入がある場合、年間で96万円となり、控除対象内に収まります。
学生の収入管理は重要です。アルバイトの収入が増えすぎないよう注意し、必要に応じて調整することで、控除のメリットを最大限に活用できるでしょう。
生計同一でなければならない
特定扶養控除の適用には、親と扶養親族が生計を一つにしていることが条件です。これは、必ずしも同居している必要がないことを意味します。
たとえば、大学生が一人暮らしをしていても、親からの仕送りや生活費の援助があれば「生計同一」と認められます。具体的には、毎月の仕送り記録や振込明細書が証拠となります。
ただし、完全に自立している場合は控除対象外です。親子間の経済的なつながりを示す証拠を用意し、生計同一性を立証できるようにしておくことが大切です。これにより、スムーズな控除申請が可能となります。
控除が受けられるのは一人の納税者のみ
特定扶養控除は、一人の扶養親族に対して一人の納税者しか受けられません。この点は、とくに注意が必要です。
たとえば、両親がともに働いている場合、どちらか一方のみが控除を申請できます。通常、所得が高い方が申請すると税負担の軽減効果が大きくなります。
また、兄弟姉妹で同じ親を扶養している場合も、一人しか控除を受けられません。申請前に家族で話し合い、誰が控除を受けるか決めておくことが重要です。二重申請は税務上の問題につながる可能性があるため、慎重に対応しましょう。
特定扶養控除の申請方法
特定扶養控除の申請は、年末調整か確定申告で行います。ここでは、それぞれの方法を詳しく解説します。
年末調整で申請する
会社員の方は、年末調整で特定扶養控除を申請するのが一般的です。手続きは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を使って行います。
この申告書には、特定扶養親族となる子供の氏名、住所、マイナンバー、生年月日などを正確に記入します。記入漏れがないよう、慎重に確認しましょう。
申告書は毎年提出が必要です。特に大学生を扶養している家庭は、提出を忘れないよう注意が必要です。会社から配布されたら、速やかに記入して提出するのがよいでしょう。
確定申告で申請する
フリーランスや個人事業主の方、または年末調整で申請を忘れた方は、確定申告で特定扶養控除を申請します。手続きは翌年の3月15日までに行う必要があります。
申請には「所得税確定申告書」を使用し、扶養控除欄に対象親族の情報を記入します。氏名、生年月日、マイナンバーなどを漏れなく記載しましょう。
特定扶養控除が適用されるか確認しながら記入することが大切です。不安な点があれば、税務署に相談するのもよいでしょう。確定申告を通じて、適切に控除を受けられるよう心がけましょう。
大学生の子を持つ親は特定扶養控除を利用して税負担を軽減しよう
特定扶養控除は、大学生を持つ家庭にとって心強い味方です。年齢や所得などの条件を満たせば、最大で所得税63万円、住民税45万円の控除が受けられます。
申請は年末調整か確定申告で行えます。条件をしっかり確認し、必要な書類を用意して申請しましょう。この控除は4年間続けて適用できるので、長期的な節税効果が期待できます。
教育費の負担を軽減し、お子さんの未来に投資する余裕が生まれるはずです。ぜひ、特定扶養控除を活用して、家計の負担を減らしながら、充実した学生生活を支援しましょう。