不動産投資はなぜ「やめとけ」?知れば怖くない7つのリスクを解説
目次
「不動産投資を始めたいけど『やめとけ』という噂が不安で踏み出せない」
「そもそもどんなリスクがあるのだろうか」
そんな悩みを持つ人へ、この記事では不動産投資を始めるにあたり知っておくべき7つのリスクについて解説します。
これらのリスクを正しく理解し対策を取れば、不動産投資は怖くありません。まずは基本的なリスクを学び、不動産投資への第一歩を進めましょう。
- 不動産投資におけるリスクの種類
- リスクへの対策方法
- 安全に不動産投資をするための心得
- これから不動産投資を始めてみたい人
- 不動産投資で失敗しないようリスクを知りたい人
- 安全に不動産投資をする方法を知りたい人
不動産投資が「やめとけ」と言われる理由
不動産投資といえば「サラリーマンがカモにされた」なんて話を耳にした人もいるかもしれません。そのせいか「やめとけ」という声が多く聞かれるのも事実です。
ここでは「やめとけ」と言われる理由について、もう少し深掘りして説明していきます。
理由1.さまざまなリスクがあるから
不動産投資は他の金融商品への投資と比べ、リスクの種類が多岐に渡ります。全てのリスクを個人で管理しきれず、結果、失敗してしまったという事例も多いです。
このリスクの多さが「やめとけ」と言われる理由の一つと言えますが、知識を身に付け対策を講じれば、不動産投資にはメリットもたくさんあります。
具体的にどのようなリスクがあり、どのような対策が取れるのか、くわしくは後ほど解説していきます。
理由2.負債が増えてしまうから
「やめとけ」と言われる理由の一つとして、負債を背負うこと自体にデメリットが多いということも挙げられるでしょう。
不動産投資は「不動産購入」という大きな初期投資が必要です。手持ちの資金が足りなければ、ローンを組むという選択をする人も少なくありません。
ローンにはもちろん貸付利息も付きますし、不動産投資が軌道に乗らず返済が滞ってしまうと、個人の信用にも関わる重大な問題となってしまうのです。
不動産投資7つのリスクと成功率を上げるための対策法
「やめとけ」といわれる理由の一つとして先述した不動産投資のリスクについて、ここでは次の7つについて説明していきます。
あわせて、そのリスクを回避するための対策法についてもお伝えします。対策をしっかり講じれば、リスクを恐れる必要はありません。まずは、一つひとつ理解するところから始めましょう。
空室リスク
不動産投資最大のリスクと言えるのが「空室リスク」です。
せっかく不動産を手に入れても、入居者がいなければ収入を得ることはできません。それどころか、毎月のローンの返済や固定資産税、管理にかかる費用など、収入の有無に関わらず出ていくお金は多く収支は常に赤字となってしまいます。
この「空室リスク」に対し有効な対策は次の通りです。
- 賃貸の需要がある不動産を選ぶ(駅近、ワンルームなど)
- 管理会社へ入居付け委託
入居者が見込める立地や間取りを選ぶことが重要です。たとえば、駅から近い、スーパーやコンビニに近いと入居が決まりやすいです。
また間取りについても、ファミリー向けの賃貸に比べ、一人暮らし向けのワンルームの方が賃貸需要が高く、空室リスクも低くなる傾向にあります。
それでも入居者が決まらない場合は、管理会社へ委託し入居付けをサポートしてもらうことも手段の一つです。事前に評判のよい管理会社をリサーチしておきましょう。
滞納リスク
「滞納リスク」とは、入居者が家賃を滞納することで収入が途絶えるリスクです。
せっかく入居者が決まっても、家賃を滞納されては収入は生まれません。「滞納する人なんてそんなにいないだろう」と思われがちですが、日本賃貸住宅管理協会が調査した「日管協短観(2022年度)」によれば、全国の滞納率は0.8%、関西だけで見ると3.3%と、100人いれば3人は滞納しているというデータがわかります。
また、滞納については入居者とのトラブルになる懸念もあり、個人での対応は難しいです。
滞納されないための対策としては、次の3つがあります。
- 入居審査を厳しくする
- 連帯保証人の設定を義務付ける
- 家賃保証会社を利用してもらう
滞納リスクは入り口から対策するのが最適解です。入居前に、職業や年収など入居予定者についてくわしく調べ、審査も厳しくすることで滞納を防げる可能性も高まります。
連帯保証人を立てるのを義務付けることも有効です。連帯保証人となる人がいない場合には、家賃保証会社を紹介し契約を結ぶよう促しましょう。
万が一滞納されてしまったときには、集金代行サービスを利用すれば家賃を代理で回収してもらえることもあるので、事前に調べておくと安心です。
災害リスク
「災害リスク」とは、地震や火災などの災害により建物が損害を受けるリスクのことです。
物件の立地や建物構造などもいくぶん影響しますが、誰にも予測できず防ぐこともできないリスクです。したがって、起こった後に取り得る対策を講じておくことが大切です。
具体的には、次の対策を取ることができます。
- 地震保険や火災保険に加入しておく
- 耐震や防炎などに優れた不動産を選ぶ
ローンを契約する場合には地震保険や火災保険の加入は必須となりますが、一括で購入する際には加入は強制されません。しかし、いざ起こったときに追う損害額を考えると、加入しないのはかなり高いリスクを追うこととなり危険です。
また物件選びにおいても、新耐震基準をクリアしているか、防火対策が適切に取られているかなどを確認しておきましょう。
修繕リスク
「修繕リスク」とは、建物の老朽化に伴い修繕が必要となるリスクのことです。
建物は経年劣化していくものですので、長く不動産を保有していると劣化にともなう修繕も避けては通れません。修繕が必要な対象物にもよりますが、かかる費用は大きいことは想像に難くないでしょう。
取り得る対策としては、次が挙げられます。
- 新築やリフォーム済み中古物件を選ぶ
- 修繕費を積み立てしておく
近いうちに修繕の必要が起こらない、新しい物件やすでにリフォームが施された物件を選ぶことがリスク回避となりますが、もちろんそのような物件は価額も高くなる傾向にあります。
また、新しい物件であっても修繕リスクがゼロになるわけではないので、あらかじめ修繕費は積み立てた方が安心です。その積立額も見込んだ投資計画を立てましょう。
家賃下落リスク
物件の価値の下落にともない家賃も下がるのが「家賃下落リスク」です。
建物の劣化が進めば、それにともない家賃の見直しが必要です。また、周辺地域の人口減や環境の変化なども、家賃の金額設定に影響を与えます。
家賃を下げなくても済むようにするためには、次の対策が有効です。
- リフォームで物件価値を高める
- 人気が下がらない地域で物件を選ぶ
リフォームは物件価値の維持、すなわち家賃の維持に必要な対策となります。ただし、入居者が途絶えないような利便性の高い地域の物件なら、家賃を下げなくても入居者が集まることもあるので、物件の立地も重要です。
価格変動リスク
「価格変動リスク」とは、地価や建物価額など、物件そのものの価値が変動するリスクを指します。
先述の家賃下落リスクとも関係が深いですが、こちらは不動産そのものの価値が下がることをいいます。たとえば、1,000万円で購入した投資用マンションが、周辺地域の人口減により評価額が800万円に下がってしまえば、それだけで200万円の損失です。
たとえ家賃収入があったとしても、総合的に見ると収支はマイナスということになってしまいます。
対策としては、次の通りです。
- 人口動向について調べる
- 周辺地域の開発状況を調べる
不動産価格は景気動向も影響するため、正確に予測するのは難しいことです。しかし投資をする以上は、物件周辺の地域について「今後人口は増え続ける地域か」「開発状況はどうか」など、賃貸需要が長く見込める地域かを入念にリサーチするべきでしょう。
金利上昇リスク
ローンの金利が上がることで、返済額も増えてしまうのが「金利上昇リスク」です。
これまで低金利が続いてきましたが、昨今は金利上昇局面にあります。今後、ローンの金利が上昇していく可能性は高いです。
対策としては、次の2つが挙げられます。
- 自己資金の比率を上げる
- 定期的に繰り上げ返済をする
ローンの残高を減らすことが、金利上昇リスクを回避するのにもっとも有効です。借入時は自己資金を多くする、借り入れ後は繰り上げ返済によりローン残高を減らす、といった対策を行いましょう。
不動産投資の失敗談
ネットやうわさでよく聞かれるのが「投資マンションを勧められるがまま購入して失敗した」という話です。
たとえば、このような事例があります。
30代男性、年収600万円のサラリーマンに、とある不動産会社から「利回りのいい新築のワンルームマンションが売りに出されている。節税にもなるし購入しないか」とセールスの電話が入りました。
副収入が生まれるのは有難いことだし、面倒な手続きは不動産会社に一任できるともいうし、ぜひ購入したいと契約に進みました。
高額なローンも高い信用力から難なく契約でき、全ての手続きが終わったあとよくよく調べたら、相場よりかなり高い価額で購入させられていることに気付きました。
このような「オイシイ話」のカモにされるのは、サラリーマンや公務員など、安定した収入がある人に多いです。「信用力が高くローンを組ませやすい」「節税対策や将来の年金補完をダシに釣りやすい」といった背景があるようです。
このような失敗談を聞くと「不動産投資はやっぱり危険だ……」と、さらに踏みとどまりたくなりますが、失敗の原因は「自ら調べず、言われるがままに行ったこと」にあります。
リスクについて正しく学んだうえで行えば、不動産投資で大きな失敗をする可能性も低くなります。主体的に不動産投資を行えば、決して失敗談のような事態を必要以上に恐れることはないのです。
不動産投資をするメリット5つ
不動産投資はリスクやデメリットしかないのかと言えば、決してそうではありません。ここでは、不動産投資をするメリットを5つ、お伝えしていきます。
副収入を得られる
副収入を得られるのが、不動産投資の一番のメリットです。不労所得を目指し不動産投資を始める人も多いでしょう。
安定した賃貸収入を得られる不動産は、将来にわたり価値を生み出す資産の一つとなり得るのです。
所得税を節税できる
減価償却費を経費とすれば、所得税・住民税の節税対策になる可能性があります。
減価償却費とは、資産の価値は年数とともに減少するという前提のもと、その減少する価値を耐用年数に応じ毎年少しずつ資産から差し引いていくというものです。
不動産は経年により価値が低くなります。下がるであろう価値を、数年に分けて経費として計上することができるのです。
経費が増えれば給与所得など他の所得とも損益通算することができるので、結果として所得税の軽減につながります。
相続税対策にも
不動産は相続時に評価を減額することができ、相続税を減らすこともできます。
現金の相続と異なり、不動産の相続については様々な特例があります。賃貸に出している不動産は評価方法も異なるので、さらなる減額が可能です。
インフレに強い資産を作れる
物価が上昇すれば不動産の価値や家賃も上昇しやすいです。預金の利回りだけでは物価の上昇になかなか追い付けないなか、不動産はインフレに強い資産となりえます。
ただしこれは全ての不動産について当てはまるわけではなく、加えてインフレの要因など経済情勢も関係するので、その点は理解しておきましょう。
レバレッジ効果も見込める
不動産投資なら、手元資金が少額であっても大きな資産を作り上げられる可能性があります。
レバレッジ効果とは「てこの原理」によく例えられます。「てこの原理」とは、道具を用い小さな力で大きなものを動かせるようになるという原理、ですね。
これを不動産投資に当てはめていえば、小さなお金をもとに融資を受け、大きなお金で利回りのよい投資をするということ。不動産投資でレバレッジ効果を発揮できれば、もとの自己資金では実現できないような、大きな収益を生み出すことができるのです。
まとめ|リスクを回避すれば不動産投資は怖くない
正しい知識をつけリスクに対し適切な対策を講じれば、不動産投資はこわくありません。過度にリスクを恐れ遠ざけることで、投資の機会を失っていませんか?そういう人は、一度リスクについての学びを進めるだけでも価値はあります。
リスクも多い一方、メリットもたくさんあるのが不動産投資です。不動産投資に潜むリスクをしっかり理解し、計画を立てたうえ、主体的な投資へと歩みを進めていきましょう。