投資・資産形成

米国株での確定申告(外国税額控除)のやり方・提出方法を解説

米国株での確定申告(外国税額控除)のやり方・提出方法を解説
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米国株投資をしているものの、確定申告のやり方や外国税額控除の仕組みなどが分からずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
確定申告は難しいイメージがありますが、手順さえ覚えてしまえば、実はたった2ステップで作成できます。

とはいえ、必要な書類や準備、記入事項を理解しておく必要があるため、いきなり書類を作成しようとすると申告できない可能性が高いです。
確定申告の対象になっている人や、外国税額控除を適用したい人は、確定申告の概要や具体的な手順を必ず確認しておいてください。

この記事では、米国株投資での確定申告のやり方や外国税額控除の適用、作成・提出の方法などについて解説していきます。
記事の解説を参考にしながら確定申告をおこない、申告漏れや米国株の二重課税を防ぎましょう。

この記事でわかること
  • 米国株投資で確定申告が必要なケースと不要なケース
  • 米国株投資で確定申告をするときの提出方法
  • 米国株投資での確定申告のやり方
こんな人におすすめの記事です
  • 米国株投資で二重課税が発生して確定申告がしたいものの、やり方がよく分からない人
  • 確定申告に必要な準備や記入の仕方、提出方法まで詳しく知りたい人
  • 米国株投資をしているが、確定申告をした方がいいのか知りたい人

米国株投資では確定申告が必要・不要なケースがある

米国株投資では確定申告が必要・不要なケースがある

米国株投資では、必ず確定申告をする必要があるケースと、不要なケースが存在します。
確定申告が必要かどうかは口座や運用状況によって異なるため、申告漏れにならないように、自分がどちらに当てはまるか必ず確認しておきましょう。

米国株で確定申告が必要なケース

米国株投資で確定申告が必要なのは、次の条件に当てはまるケースです。

  • 「一般口座」を選択している場合
  • 「特定口座 源泉徴収なし」を選択している場合

投資用の証券口座を開設する際に上記の口座を選択している場合は、毎年忘れずに確定申告をおこなう必要があります。

米国株で確定申告が不要なケース

米国株投資で確定申告をしなくても良いのは、次の条件に当てはまるケースです。

  • 「特定口座 源泉徴収あり」を選択している場合

上記の口座で投資をしている場合は確定申告の義務がないため、基本的には申告をおこなわなくても問題ありません。

ですが、米国株投資では特定口座で源泉徴収なしを選択している場合でも、確定申告をおこなえば二重課税分を控除できます。
確定申告をしない場合は配当に対して米国10%、日本20.315%の二重課税が発生するため、米国10%が余計に課税されてしまいます。

まとまった配当金が出ている場合は、時間がかかっても確定申告をおこなった方が節税できてお得です。

米国株は確定申告で外国税額控除を適用すれば二重課税を回避できる

米国株は配当金が米国と日本の2ヶ所で課税されますが、確定申告をおこなえば米国での課税分を還付できます。
確定申告で控除・還付できるのは次のように、配当課税の米国分10%です。

  • 運用益課税→日本のみ20.315%
  • 配当課税→米国10%、日本20.315%(二重課税が発生する)計:30.315%(米国での課税分に外国税額控除が適用できる)

特定口座 源泉徴収ありを選択している人でも、確定申告をおこなえば米国分の課税額を還付金として取り戻せるため、二重課税を回避できます。

外国税額控除の限度額と計算方法

外国税額控除には限度額があり、次の計算式で求められます。

  • 「所得税の控除限度額 = 当該年の所得税額 × 当該年の国外所得総額 ÷ 当該年の所得総額」

外国税額控除の上限額は人によって異なるため、自分の上限額を確認しておきましょう。
国税庁|確定申告書等作成コーナーの自動計算を利用すれば、簡単に外国税額控除の限度額を計算できます。

米国株投資で確定申告をするときの提出方法3選

米国株投資の確定申告には、次のような3種類の作成、提出方法があります。

  1. 申告書類を手書きで記入して直接または郵送で提出する
  2. 専用サイトや会計ソフトを使って電子申告する【おすすめ】
  3. 税理士に申告書類を作成してもらって提出する

自分のニーズに合わせて、どの方法で確定申告をおこなうかを決めていきましょう。

1.申告書類を手書きで記入して直接または郵送で提出する

米国株投資の確定申告は申告書類を手書きで記入し、自分で税務署に提出できます。
申告書類は、次の場所で入手可能です。

  • 税務署や確定申告会場でもらう
  • 国税庁のHPからダウンロードする

以前までは、手書きでの記入と提出が一般的でしたが、現在は電子申告が主流になってきています。

手書きだと記入や計算ミスなどが起こりやすいため、スマホやパソコンを持っている場合は、次に紹介する電子申告がおすすめです。
電子で提出した方が、二重課税分の還付金の振り込みもスムーズに完了します。

2.専用サイトや会計ソフトを使って電子申告する【おすすめ】

米国株投資の確定申告でもっともおすすめなのが、確定申告専用サイトや各種会計ソフトを使った電子申告です。
電子申告のメリットは、主に次の3点です。

  • 書類をダウンロード、印刷する必要がない
  • 申告書類を直接提出、郵送する必要がない(電子のままで提出)
  • 数字を入力するだけで自動で計算される

マイナンバーカードがあれば簡単にできるため、自宅で作成から提出まで完結する電子申告がおすすめです。
国税庁|確定申告書等作成コーナーで、申告書類の作成や提出がおこなえます。

freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使用する場合は、各ソフト申告ページの質問に答えていくだけで書類の作成ができます。
ただし、会計ソフトは月額または年額で費用がかかるため、確定申告書等作成コーナーで費用をかけずに申告書類を作成・提出するのがおすすめです。

3.税理士に申告書類を作成してもらって提出する

確定申告書類は、税理士に依頼して作成する方法もあります。
ただし、依頼費用が5〜10万程度と高額なため、米国株投資で大きな利益が出ている人以外にはあまりおすすめできません。

確定申告そのものが、それほど難しいものではないため、未経験からでも一人で十分できます。
配当の利益を少しでも多く手元に残すためにも、自分で確定申告をおこなうのがおすすめです。

米国株投資での確定申告のやり方2ステップ

米国株投資の確定申告は難しくて面倒なイメージがありますが、次の2ステップだけで完了します。

  1. 確定申告に必要な書類を準備する
  2. 確定申告書等作成コーナーで申告書類を作成する

初めて確定申告をおこなう人でもできるような内容になっているため、ここで必要な準備と詳しい申告手順を確認しておきましょう。

1.確定申告に必要な書類を準備する

確定申告をおこなう際は、事前に必要な書類を準備しておきましょう。
米国株投資の確定申告に必要な書類は、次の通りです。

  1. 確定申告書(電子申告の場合はダウンロード不要)
  2. 取引の内容が分かる書類(取引報告書、支払い通知書など)
  3. 外国税額控除に関する明細書(電子申告の場合はダウンロード不要)

電子申告をする場合、準備するのは米国株の取引内容が分かる書類だけで良いです。
取引報告書や支払い通知書などは、証券会社のHPからダウンロードできるため、各社の案内を参考にしてみてください。

2.確定申告書等作成コーナーで申告書類を作成する

必要書類が準備できたら、確定申告書等作成コーナーで申告書類を作成・提出していきます。
確定申告で申告書類の作成・提出をおこなう具体的な手順は、次の6ステップです。

  1. 確定申告書等作成コーナーを開く
  2. 「作成開始」をタップする
  3. 画面の表示に従って収入や所得、控除金額を入力する
  4. 「税額控除・その他項目の入力」で「外国税額控除等」を選択する
  5. 外国税額控除に関する明細書の「外国所得税額の内訳」を次のように記入する
    • 国名→米国
    • 所得の種類→配当
    • 税種目→所得税
    • 源泉・申告(賦課)の区分→源泉
    • 所得の計算期間→R○年1月1日~R○年12月31日
    • 相手国での課税標準→明細書に記載されている配当金額を入力
    • 左に係る外国所得税額→明細書に記載されている課税額を入力
  6. 全体の入力内容に誤りがないか確認した上で提出する

上記の手順に沿って書類の作成と提出をおこなえば、確定申告は完了です。

米国株投資での外国税額控除以外の節税方法2選

米国株投資での外国税額控除以外の節税方法2選

米国株投資では、確定申告で外国税額控除を適用する以外にも、次のような節税方法があります。

  1. NISA口座で米国株投資をおこなう
  2. 損益通算や繰越控除を活用する

各種制度や税制優遇などを活用し、節税しながら米国株を運用するのがおすすめです。

1.NISA口座で米国株投資をおこなう

米国株投資で節税をしたい場合は、NISA口座で資産運用をするのがおすすめです。
通常口座とNISA口座でかかる税金の違いは、次の通りです。

【通常口座の場合】

  • 運用益課税→日本20.315%
  • 配当課税→米国10%、日本20.315%

【NISA口座の場合】

  • 運用益課税→非課税
  • 配当課税→米国10%

NISA口座で米国株投資をした方が課税額が圧倒的に少ないため、節税しながら投資ができます。
まだNISAを始めていない人や、購入枠に余裕がある人は活用するのがおすすめです。

2.損益通算や繰越控除を活用する

米国株投資で確定申告をする場合は外国税額控除だけでなく、損益通算や繰越控除を活用するのがおすすめです。

損益通算とは、ある株式で発生した損失を他の株式と相殺できる制度のことです。
例えば、米国株で損失が10万出たとしても、日本株で10万の利益が出ていれば相殺されて課税対象がなくなるため、トータルで非課税となります。

繰越控除とは、投資で発生した損失を最大3年まで繰り越して、新たに発生した利益から控除できる制度です。
前年の損失額を繰り越していると、翌年以降の利益分から差し引くことができ、課税額を安く抑えられます。

投資で損失が発生してしまっても、損益通算や繰越控除をすれば、翌年以降に節税ができるため、積極的に活用するのがおすすめです。

米国株での確定申告のやり方に関するよくある質問

米国株投資での確定申告や外国税額控除には、次のような疑問に感じやすい点も存在します。

  • 米国株投資の確定申告はめんどくさいからしなくてもいい?
  • 米国株の運用益にも外国税額控除は適用できる?

正しくお得に運用するためにも、必ず理解しておくようにしましょう。

米国株投資の確定申告はめんどくさいからしなくてもいい?

外国税額控除の節税メリットが受けられなくなるものの、二重課税分の納税をおこなえば、確定申告をしなくても問題はありません。
節税・還付金のメリットよりも、確定申告の負担の方が大きい人は、あえてしないのもありでしょう。

ただし、一般口座や特別口座で源泉徴収なしを選択している場合は、必ず確定申告をおこなう必要があります。

米国株の運用益にも外国税額控除は適用できる?

確定申告で外国税額控除を適用できるのは、二重課税が発生する配当課税のみです。

  • 運用益→日本20.315%でのみ課税される
  • 配当課税→米国10%と日本20.315%の両方で課税される

外国税額控除は二重課税を解消するための控除制度なため、日本でしか課税されない運用益は対象外となっています。

まとめ:米国株での確定申告(外国税額控除)のやり方は2ステップで簡単

米国株投資で確定申告が必要になった場合でも、今回解説した2ステップだけで簡単にできます。
一般口座や特定口座の源泉徴収なしで投資をしている場合や、二重課税が発生している場合は、手順を参考にしながら確定申告をおこないましょう。

最後に確定申告の提出方法と、作成の手順をあらためておさらいしていきます。

【確定申告の提出方法】

  1. 申告書類を手書きで記入して直接または郵送で提出する
  2. 専用サイトや会計ソフトを使って電子申告する
  3. 税理士に申告書類を作成してもらって提出する

【確定申告の作成方法】

  1. 確定申告に必要な書類を準備する
  2. 確定申告書等作成コーナーで申告書類を作成する

対象になっている人は確定申告をおこない、申告漏れや二重課税を回避しましょう。

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